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2014年10月26日 (日)

「架空通貨」池井戸潤

池井戸潤シリーズ・・・今度は「架空通貨」を読みました。表題だけみるとどんな物語かと思われますが、特定の地域だけに使用できる通貨(過去には、藩札、西郷札、軍票などがある)を題材にしたミステリーです。

主人公は高校の教師です。担任クラスの中で将来期待の女生徒がいました。ある日の夜遅く、突然彼女が先生を訪ねてきました。その子の父親が経営する会社が倒産するという。そうなれば彼女の進学の夢も断たれます。元大手商社マンだった彼は、彼女のために力になろうとします。事態の背景には大きな策略が隠れており、主人公はどんどん深みにハマっていきます。そしてその後の彼の活躍は・・・

池井戸氏の小説は、どちらかというと知的闘争の場面が多いのですが、これは映画にしてもいいぐらいのアクションシーンも盛りだくさんです。江戸川乱歩賞の「果つる底なき」に続く作品ですが、私としては数段レベルが上がったように思います。

ある山間地方の鉱山会社は異様な景色を形作っていて、まわりには企業城下町ができています。そこに鉱山会社が勝手に発行した民間通貨が流通していきます。統制の効かない通貨は、どんどんその街をむしばんでいきます。そこで生活している人々の人間模様が、生々しく描かれています。フィナーレのクライマックスはまさに圧巻!・・・一風違った作品として大満足でした。

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