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2014年10月29日 (水)

「雄気堂々」城山三郎

城山三郎氏の著書は6年前に「男子の本懐」を読みました。氏は7年前に亡くなられましたが、明治~大正~昭和の史実に基づいた作品を多く書かかれています。分野も政治、経済、戦争と幅広く、その時々に登場する人々の「人生の生き方」を、ダイナミックに描いておられます。今回は、かの有名な「渋沢栄一氏」のことをさらに知りたくなり、この本を選んだ次第です。

「渋沢栄一」・・・幕末に尊皇攘夷派の志士として奮起したが、ある出会いにより徳川慶喜に仕えることになった。そこで彼の才能が大きく開花され数多くの成果を上げていく。その後慶喜は不幸の将軍となるが、たまたま栄一は徳川昭武(慶喜の弟)についてフランス万博やヨーロッパ歴訪の旅に出ていた。栄一はヨーロッパ各地で先進的な産業・軍備を実見し、政治・経済・文化と幅広く知識を積んでいった。帰国後は、静岡で謹慎中だった慶喜に仕えるが、参議の大隈重信に説得されて大蔵省に入る。そこでは度量や予算の制定、国立銀行条例制定に携わった。しかし予算編成をめぐって大久保利通と対立し退官。民間に下り、第一国立銀行を設立して頭取に就任。その後、多くの地方銀行設立指導に加え、東京証券取引所、東京ガス、東京海上火災、帝国ホテル、東洋紡績、キリンビールなど、500以上の企業設立を指導した。さらに一橋大学や東京経済大学をはじめ数多くの大学の設立など、600以上の社会事業にも関わった。

この本を一読し、「人間の一生・・・その限られた時間、それも交通や通信が整っていない時代に、よくこれだけのことができたもんだ」というのが、私の率直な感想です。それから渋沢栄一は財閥をつくりませんでした。三井、三菱、安田、住友、古河、大倉を築いた人たちとも深く交流していました。その気になれば彼ら以上の大きな会社をつくれたはずでした。渋沢栄一氏は「すべて国家・国民のため」、「私利を追わず公益を図る」という信念を持っていたのです。

すごく感動しました!「これぞ男の中の男!」って感じです!本から伝わる彼の人間性は、正義、好奇心、誠実、ユーモア、論理明快、清濁合わせ飲む大きさ~です。見定めた目標に向かってドンと構える、焦らず急がず振り回されず、弱者にやさしく強者にひるまず、事実若い人にも気さくで、誰からも人気があったようです。渋沢氏の死は経済界だけでなく、広く市民にも惜しまれました。青山斎場にはなんと4万人もの会葬者がつめかけたそうです。これから人生の仕上げに取りかかる私にとって、「男の生き方」、「人間としての生き方」をこの本は教えてくれました。

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