「ようこそ、わが家へ」池井戸潤
池井戸潤「ようこそ、わが家へ」・・・幸せを感じるやさしいタイトルですが、それがなんと・・・知らない人物が家でいやがらせを繰り返す内容なのです。
主人公はエリートコースからはずれ、取引先企業に出向している50代の銀行員です。ある日勤務先からの帰りに、順番をついて電車に乗ろうとしたところへ、青年が割り込み若い女性がよろめきました。普段なら見過ごすところを、その日に限って青年を注意したのです。青年はそのことを根に持ってストーカー行為を続けます。ところが物語は意外な方向へと進んでいくのです。
また出向先の会社でも、やり手の管理職の背任行為を見つけ、弱い立場ながらも正義を信じて立ち向かいます。元来真面目だけが取り柄のような主人公ですが、家では家族が、そして会社では部下が彼を支えます。この両方の世界で同時に進んでいくミステリー・・・これまでとは違った感覚でドキドキさせられました。
また池井戸氏の作品の中では、「家族の絆」を描いた小説は珍しいはずです。改めて作者の多様性にも感心させられました。
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