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2014年8月31日 (日)

「BT’63」池井戸潤

書店に入って「池井戸作品」を探す日々が続いています。今年のお盆休みに氏の作品を3冊読みました。「果つる底なき」と「BT’63」の上・下巻です。「果つる底なき」は江戸川乱歩賞を受賞しているだけあって、銀行という難しい世界に、本格的なミステリーを加えた小説となっています。推理小説ファンには相当受けると思います。

私の場合は「BT’63」の方により惹かれました。経済小説にSF感覚とミステリーがほどよくミックスされ、読みながら何度もドキドキ・ワクワクさせられました。

ひとりの青年が脳の病気に侵され、2年間の入院を余儀なくされます。それが元で奥さんと離婚になってしまいます。彼は久しぶりに母が住む実家に戻り、家の片付けを始めます。そこである不思議なものを見つけます。それが亡くなった父親の遠い過去を教えてくれました。彼が生まれるずっと以前のことです。そのとき浮上した疑問を解き明かすために、現代の世界で様々な人に真相を聞いて回ります。

物語は過去と現代を行ったり来たりします。初めはややこしい感じがしますが、なれてくるとその絶妙さが面白みを増してくれます。そうして最後には、彼の現在が大きく変わり始めるのです。そこが作者のつくり上げたかった「落ち」なんでしょう。すっきりした気持ちにさせてくれるのですが、「何か」が私の心から離れませんでした。

「’63」は1963年のことです。1957年生まれの私にとっては、物語の情景がときに幼い頃の記憶と重なりました。ある意味懐かしさも覚える小説でした。

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