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2014年1月 3日 (金)

「ボックス」百田尚樹

百田氏の長編小説「ボックス」を読みました。高校のボクシング部を舞台にした物語です。どちらかというとマイナースポーツで、しかも「今さら高校生?」という印象で、あまり乗り気ではなかったんですが・・・とんでもないです!すごく面白く内容のある作品でした。

「高校教師の高津耀子(たかつようこ)はある日、電車の中でたちの悪い連中にからまれた。そのとき知らない学生がふたり現れ、ひとりの子があっという間にチンピラを倒した。後でその子たちが自分の勤める高校の1年生だとわかる。ひとりは自分が教える特進クラスの木樽優紀(きたるゆうき)、自分を救ってくれた子は親友の鏑矢義平(かぶらやよしへい)だった。鏑矢はボクシング部に入部していたが、その後耀子は運命的にボクシング部の顧問に選ばれる。耀子に憧れる木樽は勉強はできたが気が弱い子だった。その彼がある日ボクシングを始める。そうしてボクシングでは3流だった学校がついに名門校になっていく・・・」

「あらすじ」だけを読むとよくある青春ドラマのように思われますが、そこは百田小説!(スズメバチをもドラマにするぐらいですから・・・)、すさまじい感情が行き交う人間ドラマに仕上がっています。読むほどに流れの渦に惹き込まれていきました。百田氏自身も過去にボクシングをされていて、拳闘シーンなどはテレビを観るよりリアルな感覚が伝わってきます。専門用語も詳しく説明され、おかげでボクシングの知識も増えたぐらいです。

物語は主人公が3人いて、うち二人が心模様を語っているという、面白い構成になっています。木樽は高校1年生ながら高津先生を好きになります。けれども耀子は鏑矢のことが気になります。それが恋かどうかわからない耀子、それがもどかしい優紀・・・そしてついに彼はボクシングを始めます。私が一番惹かれたのはこのあとです。「人間が本気になると奇跡が起こる!」・・・期待を上回る展開にワクワクし通しでした。

ややもすると人生に流されている・・・気づかないうちに自分であきらめている・・・そんな心の部分にグサッとメスを入れてくる小説です。決して高校生の物語ではなく、どんな世代にも響いてきます。それにしてもかなり年上の女性を好きになる男性と、かなり年下の男の子を好きになる女性???・・・これも今の流行を反映しているのでしょうか?(笑)

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