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2013年11月28日 (木)

「風の中のマリア」百田尚樹

続いて「風の中のマリア」も大変面白かったです。「昆虫のハチが主人公ってどうなのかな?」という気持ちで読み始めましたが、そこはさすが百田先生・・・絵本のような幼稚さはなくれっきとした小説で、読者を十分満足させてくれました。

昆虫の中で最も凶暴なスズメバチ、その中でも強豪のオオスズメバチの物語です。主人公のマリアは女王蜂に仕えるワーカーで、餌を捕ることを担当する戦士(ハンター)です。オオスズメバチの幼虫は肉食で、他のいろんな昆虫を食べて成長します。むろんハチも食べます。本の中では大きな蜂の巣を「帝国」と表現しています。マリアは帝国の中で最も強い戦士でした。成虫にかえってからの30日の生涯を、帝国存続のために立派に生きたのでした。

マリアは狩りをしていく中で、いろんなことを教えられ体験していきます。恋もします。しかし彼女はワーカーなので、交尾もせず産卵もしません。それでは何のために生まれてきたのか?・・・選ばれた強い女王蜂とオスバチだけに“種の保存”の権利が与えられています。そのことをしっかりと支援することが、彼女たちの使命なのです。

これらの複雑なシステムは、物語を読むことで理解できます。人間や哺乳動物とは異なるので最初は戸惑いましたが、そんな環境の元でマリアは力いっぱいに生き抜きました。まさに「天命を全うした!」と言えるでしょう。「はたしてハチに感情があるのか?」ということは別として、「ある偉大な生涯」として読むことで、とても満足できる作品でした。

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