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2013年6月 9日 (日)

ヒロシマ5(爆発直後)

原子爆弾の爆発点は数十万気圧という超高圧となります。爆風は3.7キロまで達しました。半径2キロの地域は木造家屋が全滅、鉄筋コンクリートの建物は崩壊はしないものの、窓は全部吹き飛ばされ、内部はことごとく焼失しました。当時広島市には、約35万人の人が住んでいました。原爆で死亡し人の数は現在も正確につかめていませんが、昭和20年末(爆発から5ヵ月間)までに、約14万人が死亡したと推計されています。

「わたしの遺書」~「道を歩いていくと、黒い煙が立ち込める中から、ぼんやりと人のシルエットが浮かび上がってきました。『人だ』と思って近づいてみると、目玉が飛び出している人や、お腹から腸が飛び出している人が、右往左往していました。また、身体にびっしりとガラスの破片が突き刺さっている人もいます。そこから鮮血が噴き出て、服が真っ赤に染まっています。身体を動かすと、体内でガラスが触れ合って、“じゃりじゃり”と音が聞こえます。いかにたくさんのガラスが突き刺さっているかということです。さらに、一糸まとわぬ黒焦げの人たちは、ひたすら防火用水の水を飲んでいます。そのときにとても印象的だったのが、人間の声が一切しなかったことです。大惨事の映画などで『ワァー』とか『助けてくれー』と、叫び声を上げるシーンがありますが、本当に人間が極限状態のときには、そんな声を上げる余裕はないのです」

~「三千度以上の熱線を浴びた身体には、大きな水ぶくれがあちこちにでき、それが次々とつながってさらに大きな水ぶくれとなり、何かの拍子で皮膚が破けると、皮膚がだらーんと垂れ下がります。肩の皮膚、腕の皮膚、手の甲の皮膚がすべてむけて、皮膚が手の爪のところでかろうじて止まっています。手を下げると皮膚が地面を引きずるので痛い!そのためどの人もどの人も、やや前かがみで、腕を前に持ち上げて、まるで幽霊のような格好で歩いています。足がむけた皮膚は、1メートルぐらい地面を引きずっています」

~「そのうちに『みずー、みずー』という合唱のような声が聞こえてきます。ほかの言葉は一切ありません。私は路上で拾った鉄かぶとに水を汲んで持っていきました。うめいていた人たちは、がぶがぶとものすごい勢いで水を飲みます。けれどもそれから2秒か3秒すると、みんな「がくっ」と首がたおれて絶命しました。水を飲んだ人がこのように死んでいくので、すぐに「やけどをした人間には水を飲ますな!」といううわさが広がりました」

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