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2009年9月 5日 (土)

サイクルベースあさひ・下田社長の講演会

いくつかの講演会に参加してみて、「好調な会社には3つの共通点がある」ことを実感しました。①自社の『売りもの』がはっきりしていて、お客様にもよくみえる、②お客様の要望と期待にしっかりと応えている、③自社の社員を自慢とし、とても大事にしている・・・以上です。先日この10年急成長されておられる、サイクルベースあさひの下田社長の講演を聴きました。現在、全国に200の自転車店舗を展開されておられます。

下田氏は高校を卒業後、オモチャ問屋で修業されました。22歳で独立し、門真市の駅前でオモチャ店を開店しました。大阪万博が開かれた年です。周辺は若い世代が住む住宅地で、当初はよく売れましたが、2年後にダイエーが近くにできて、とたんに売れ行きが落ちました。「お客様をじっと待つ状況が3年間続いた。やる気はあってもどうしていいかわからない。お客さんが来てくれない、自分の存在感がない、本当に辛かった」そうです。

悩みぬいた末に考えたのが自転車の商売でした。親切には自信があったので、試乗しての細かな調整、パンク修理など、1件1件の丁寧な応対で、お店は徐々に繁盛していきました。7年経って、巨大ニュータウンの千里にお店を移しましたが、競争が激しくとたんに安売り競争に巻き込まれました。「このまま競争を続けても勝てない。ならばプロショップに!」という一大決心をされました。

ロードレース用、マウンテンバイクなどの専門店です。「いちからの勉強だった。昼はお客様から学び、夜は専門書を読む・・・そんな毎日だった」とのことです。そのうち自転車の愛好家たちから「あさひは居心地のいいお店」という評判が立ち、お客様がどんどん増えていきました。10年後には、たった16坪のお店で、2億5000万円もの売り上げになっていたほどです。

ちょうどその頃、ホームセンターで大量の自転車が、安価に売り出され始めました。下田社長の「自転車は売ってそれっきり・・・という商品じゃない。乗る人の安心・安全のためにも、きちんとした品質の商品を売り、そのあとも正しい調整がいる。自転車は『環境に良く健康で安全な乗り物』という意識をもってもらいたい」という信念から、また新たな挑戦が始まりました。

再出発は100坪のお店からです。郊外の国道沿い、駐車場を完備、本格スポーツ車からママ・チャリまでの品揃え、そしてどんな要望にも親切な対応・・・早い段階から反響を呼び、お客様の手応えも十分で、毎年1店舗ずつ増やしていきました。バブルが崩壊し、大卒社員も加わるようになりました。下田社長は仕事が終わった夜、「将来はどんな会社にしていこうか?どんな仕事をしていこうか?」と、毎晩スタッフたちと語りあったそうです。そこでの話し合いがきっかけとなり、2004年にはジャスダックに上場されました。

下田社長は最後に次のように話されました。「私は商売を儲かる・儲からないで判断しない。お客様にとって正しいか・正しくないかで判断する。それらをどうやって実行していくか?・・・それが『仕事』というものである」と。若い頃、お客が来てくれなかった辛さを決して忘れることなく、経営の本質をしっかりと見極め、61歳になられた今も熱く夢を語る・・・その姿に本物の経営者像をみました。

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