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2008年1月31日 (木)

変人経営

今週、岡山でブライダル事業をされてる(有)マグリット社長の羽原俊秀氏の講演をお聞きしました。当日参加するまでは、「変人経営」というタイトルが異色に感じていました。講演の最初に羽原氏は「変人経営です。変態ではありません」と言われてましたが、お話を聞いていくうちにその心意気が理解できていきました。

広辞苑で「変人」とひくと「一風変わった人。変わり者」と出てきます。羽原氏の考えは「変人とは、自分・会社・世の中・流れ・見方・価値観・常識などを変えられる人」・・・なんだそうです。歴史上の人物で、坂本竜馬や本田宗一郎、トーマス・エジソンやウォルト・ディズニーなどの名前を挙げておられました。確かに彼らは変人と言われましたが、のちに世の中に大きく貢献された方々ばかりです。

羽原氏は1962年生まれの46歳です。19年前に祖父の代から続く「老舗旅館・石山花壇」に入社され、そこから苦難の経営再建が始まりました。当時の状態です。12億円もの大きな借金、債務超過4億5000万円、老朽化した建物、平均年齢56歳という封建体質・・・などなど。その中で必死で頑張ったものの、後に阪神大震災~交通遮断による観光客の激減、メイン銀行・サブ銀行の相次ぐ破綻などの追い討ちを受け、最悪の状況に陥っていきました。

ある時、羽原氏は「まだ世間ではあまりない、本格的なウェディングを始めたい」と思い立ちました。周囲からは猛烈な反対です。それでも己を信じて挑戦していきました。当然のことですが、資金はないから会場は畳敷きの大広間・・・設営、備品、演出のすべてが手づくりでした。しかしそこには羽原社長と一部の社員の「夢と勇気と情熱」がありました。そして彼らの「まごころ」が本物のサービスとなって、お客様の口コミで広がっていったのです。

初年度の結婚式の売上は370万円、20組すらありませんでした。ところがそれから加速度的に成長を始めたのです。現在では年間350組に伸び、売上もなんと当初の216倍、8億円へと成長しました。専門家に言わせるとまさに“奇跡”だそうです。岡山ではブライダルの最後発でしたが、今では競合50社の中で顧客満足度・第1位とのことです。さらに自社の再建にとどまらず、全国のホテルや式場の「企業再生」を、広く手がけておられます。

経営理念は『グッド・インパクト!』・・・【思わずすごい!と言ってしまうような衝撃的で価値のあること】・・・という意味だそうです。しっかりとイメージできる素晴らしい理念です。また商品理念は『本物であり続ける』・・・【本質を踏まえ、常識を変え、ウソはなく、長期的であり、革新的であり、本物のパーティー文化を創る】・・・まさに次々とすごい商品が生まれそうですね。

最後にマグリットの変人経営3ヶ条を紹介します。
1.誰もが思う「当たり前のこと」を、別の角度から真剣に取り組む
1.誰もがやらなかった「前例のないこと」に本気で挑戦する
1.誰もがあきらめていることに正面から体当たりする
以上です。

羽原社長は先月12月に、「マグリット岡山」に続く未来戦略の第一弾として、直営店「ディスティーノ金沢」をオープンされました。講演の中で映像を紹介していただきましたが、とても進歩的なデザインの建物になっていました。どんな「グッド・インパクト!」が演出されるのか?・・・将来訪れるであろう機会を楽しみにしています。

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2008年1月17日 (木)

講演1(岡野雅行氏)

昨日から今日、東京で開催された経営者セミナーに参加してきました。内容は6名の方々の講演が中心でした。皆さん素晴らしいご講演をされましたが、中でもトップバッターの「岡野雅行氏」とオオトリの「島田洋七氏」が圧巻でした。今回のセミナーのテーマです。「人に歴史あり~不可能を可能にする~今年こそチャレンジの時」・・・

岡野雅行さんのご講演はまさしくテーマにぴったりの内容でした。私は詳しく知らなかったのですが、話題の「痛くない注射針」を開発した町工場の社長さんです。プロの「江戸っ子落語」を思わせるほど話がうまいのです。私たちにはとても内容のある話なんですが、1時間半の間何度も笑わされました。

岡野工業株式会社は社員数6名、残業はしない、夕方は5時で終わり、というのです。それでも去年は1億3000万円の納税をされたそうです。「え~!どうして~?」・・・羨ましく理想的な経営です。商売をしてきてこのかた、人ができることはしたことがない、営業をしたことがない、お金に困ったことがない、とのことでした。

以前からお父さんが金型工場をされていました。「自分はプレスもしたい。しかしそうすることで、これまでのお客様がライバルになる。迷惑がかかるということで反対された。それじゃあお客さんがしないことだけをすりゃあいい」ということで、誰もできないことだけをやってきたそうです。「世の中はおもしれぇ~。どんな先端技術やITをもってしてでもできねぇことを、アナログのオレができちゃうんだから・・・ハハハ」

岡野さんと一流企業とのやりとりの一例です。~「オレのところへはどこもできねぇことだけ言ってくる。聞いてみるとできそうだ。『見積もってほしい』と言われ、3000万円ぐれぇかかりそうだから『1億円』と答える。変な顔をして帰るが、1週間もすると電話がかかってくるんだよ。『会社の稟議が下りました』ってね。干されても恐くねぇから言えるんだよな」~

痛くない注射針の開発は蚊がヒントでした。先端が0.2ミリ、根元が0.3ミリという形で、従来のように極細パイプを切断する方法では絶対に造れなかったのです。そこで岡野さんは考えました。「極薄のステンレス板を丸めて接着すりゃあいい」と。そして見事、痛くない注射針が完成しました。この成功により、毎日注射を打たなければならない患者さんが、その痛みから救われることになりました。

岡野さんは「自分は発明者だけでいい、特許はメーカーさんに取っていただいた」というのです。「周りの人たちが、これまでたくさんの特許を取ってきたが、その後ろくな事がねぇ~」というのが理由だそうですが、でももったいない話ですよね。

最後に一番印象的だったのが「とても若い!」ということです。現在75歳、私からすると25歳も年上です。でも声は大きいし目の輝きが違う、身体からすごいエネルギーとオーラが出ていました。チャレンジ精神は今もなお絶好調みたいです。私を含め、今の若い人たちが大いに見習わなければならないと感じました。

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講演2(島田洋七氏)

島田洋七さんの講演をついに聞きました。想像してた以上に大きな感動をもらいました。笑いあり涙ありの1時間半でした。やはり生ステージは良かったです。プロはすごいです。

講演では、本には載ってないいろんな話を聞けました。B&B時代、そのあとの落ち込みの時代、そして今のフィーバー・・・それらを通して、ビートたけしさん、奥さま、お母さま、そしてがばいばあちゃんが随所に登場しました。

今回は新春セミナーということで、特別に「がばいばあちゃんの次回映画作品」のクライマックス・シーンの話をしてくれました。それが何かを言ってしまうと楽しみがなくなるので、映画の上映を期待してほしいと思います。

考えてみると島田洋七さんをステージで観たのは初めてです。第一印象は「とにかく元気でパワフル」ということでした。彼は今の日本を、次のように憂いておられました。

~日本人はもっと笑って生きなあかん。アホでも元気に生きとるといいことがある。賢そうにしとるから疲れる。ニートも信じられん。家におってどうして道が開ける?外に出なあかん。働けばお金も友達も信頼もついてくる。政治家もアホが多い。今の日本を築いてきた70代、80代の人たちの声をもっと聞かなあかん。若ければいいというのは間違うとる。一度国会を変えるといい。例えば議事堂の色を変えるとか・・・ハハハ~

経営者セミナーのテーマは「不可能を可能にする・・・」でした。ある人ががばいばあちゃん本人に聞いたそうです。「どうしておばあちゃんはいつも前向き(プラス思考)なんですか?」と。するとおばあちゃんは次のように答えたそうです。「後を向いて歩くのは難しい~歩くときは前を向いた方が楽ばい!」・・・本当に素晴らしい講演でした。たくさんの元気と感動をもらって金沢に帰りました。

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2008年1月14日 (月)

洞察力

以前にも書きましたが、小泉元総理が「次期総理には、使命感・洞察力・情熱の3つを期待する」と話されていました。その点で、安倍前総理は使命感と情熱はまずまずでしたが、洞察力の点で一部弱かったのでは?・・・と感じます。あくまで個人的意見ですが・・・

さて、トヨタでは会社全体に常に危機感が浸透し、そのために社員の洞察力がしっかりと養われていると聞きます。現在飛ぶ鳥を落とす勢いのトヨタですが、社員全員にいつも問題意識をもたせて事に当たらせる・・・そこが凄いと思うのです。

さらにトヨタでは、失敗やクレームの原因を、5段階も掘り下げて追求するそうです。原因の原因、またその原因・・・というふうにすることによって、大元(おおもと)の「真因」が浮上してきます。ここを解明しない限り、本当の解決にはならない・・・ということなんですね。

現代は、安定した経営を持続させることさえ難しい時代です。ましてや大きな成長・発展を続けることは本当に凄いことです。若いときから社員に問題意識を植えつける・・・彼らに深い洞察力が身についていく・・・そして世界に通用するプロとして育っていく・・・まさに素晴らしい企業教育です。改めて見習いたいと思います。

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2008年1月10日 (木)

男子の本懐

昨年のお正月は小説「本能寺」を読んで過ごしました。そして今年は、年暮れに一冊の懐かしい本を見つけました。城山三郎氏の「男子の本懐」です。20代半ばの頃、当時父親ぐらいの方から薦められましたが、その時はチラチラと眺めただけで終わっていました。

私には珍しい政治小説です。主人公は浜口雄幸総理大臣と井上準之助大蔵大臣・・・この二人が心から信頼し合い、命を賭けて、日本の改革を推し進めていく内容です。強い使命感と情熱・・・まさに男子と生まれて本懐を遂げる・・・そんな姿が随所に表れています。さらに近年のバブル崩壊から、経済の立ち直りに賭けた小泉政権と共通するところがあり、大変興味深く読みました。

大正時代、大戦景気に湧いた日本に戦後恐慌が訪れ、関東大震災がそれに拍車をかけ、昭和に入ってからも日本は慢性的な不況が続いていました。そのような状況の中で、昭和4年7月浜口内閣が誕生しました。方針の主なものは公明な政治、軍縮の促進、金の解禁(金本位制への移行)でした。

現代は管理通貨制度による変動為替相場制ですが、過去には「金」をものさしとした固定相場制(金本位制)が世界の常識でした。それによって各国経済が世界経済と安定的に結ばれていました。ところが第一次世界大戦の勃発により、先行きの不安に備え、世界各国は金の輸出禁止を行いました。当時の日本もそれにならいました。そして大戦終焉後、まずアメリカが金本位制に戻り、各国がそれに続きました。日本は準備が行き届かず、結果的に7年遅れていました。

金本位制を持たない日本は、通貨が不安定のため為替差損で倒産する、差損を恐れて事業を縮小するなど、経済がどんどん低迷していきました。この行きづまりを根本的に打開する方策が「金の解禁」でした。しかしそれは、病気の人間に例えれば特効薬ではなく、苦しみながらにがい薬を飲み続ける・・・健康体になるために、あえて不景気を乗り越えなければならない・・・といったものでした。

浜口氏は、彼自身の実直さと正義感が高く評価され、政界・財界から大衆まで広く支持されていました。よくまとまった浜口内閣は一丸となって、軍縮を初めとした国家予算の大幅削減に挑んでいきました。そして翌年の昭和5年1月に、いよいよ金の解禁が実行されたのです。しかし不運にも、アメリカを発端とする世界恐慌が起こり、世の中は大不況となり、結果的には経済失策と評されるようになっていきました。

浜口氏には常に危険がつきまとっていましたが、ついにその年の11月、東京駅でひとりの青年の銃撃を受けてしまいました。一命だけは取り留めたものの、リーダー不在の内閣は徐々にその力を失っていきました。そんな中においても、井上大蔵大臣は精力的に緊縮政治を推し進めていき、その後の若槻内閣にもそれが引き継がれていきました。しかしその井上氏もまた、昭和7年2月、演説会場で暗殺されてしまいました。

本の末尾の解説文です。「彼らの死後、軍部の横暴と圧力によって政党政治が実権を失い、日本が転落の一途をたどっていった。そのことを考えると、彼ら二人の死が、いかに近代日本に深刻な影響をもたらしたかを痛感する。ひるがえって今日の政界の実情を見ると、浜口、井上のような信念の政治家は姿を消し、場当たり的で、保身のため困難な課題を回避する姿勢が目につく。金権政治の構図が表面化し、彼らの推進した私利私欲のない潔癖政治は背後に追いやられている・・・(昭和58年発行)」と書かれています。

政治のレベルを高めたい・・・それは浜口雄幸氏の強い念願でした。政治家は国民の平均的標準ではなく、国民の理想であるべきである・・・その意味でも「強く正しく明るい政治姿勢」を、彼は本気で推進していました。現代は社会の目も厳しく、金権政治は弱まりつつありますが、彼らのように、一部の圧力にひるむことなく、グローバルな視点で信念を貫く・・・そんな政治家が多く誕生することを願うところです。

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2008年1月 4日 (金)

2008年のスタート

新しい年を迎えて謹んでお慶び申し上げます。さて、今日からお正月気分もいささか抜けてきました。そして明日は2008年の仕事始めです。

今朝の朝刊を見てまず目に入ったのは、「ニューヨークの先物相場で、原油が1バレル100ドルに達した」という記事でした。またさらに原材料の値上げに拍車がかかるのでは?・・・と危機感をもった次第です。

国内では相変わらずデフレ状態が続く・・・世界では原油や金がどんどん値上がりする・・・そのギャップは、これからの日本経済にどんな影響を及ぼしてくるのでしょうか?

まちがいなく格差が広がるでしょう。私たち中小企業にとっては試練の数年となります。当社の生きる道は・・・さらにお客様から求められる企業を目指す・・・これあるのみです。全社員が腹帯を締めて頑張りたいと思います。

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